吉野と熊野を結ぶ大峯奥駈道は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部でもあり、険しい山岳地帯を縦走していく修験の道。いつか歩いてみたいと思っていたのですが、百名山の八経ヶ岳への登山でも、その一部を歩くことができることを知り早速実行です。

八経ヶ岳への日帰り登山は、おそらく行者還トンネル西口にある登山口からの往復以外は中々難しそうで、かつ、浜松からはこの行者還トンネルまでがかなり遠く 5時間以上かかるようだったのと、登山口の駐車場がかなり早く満車になりそうな情報を見ていたので、夜8時ごろ出発して夜中に到着できるよう出発。北山や十津川あたりの道は細く非常に険しい予想をしていましたが、案の定行者還トンネルにいたる行者還林道は細く険しくすれ違いも厳しい道で真夜中に走るのはかなり神経を使いました。夜中の 2時前に到着したものの、駐車場はすでにほぼ満車でギリギリでしたが、到着して見たのは星降る夜という言葉がぴったりなすごい数の星。Pixel に天体撮影モードがあったので試してみましたが、中々な夜空の様子を撮ることができました。



空が白んできたのは 5時前、思った以上の寒さでぐっすりとは眠ることができず 5時には登山開始。ここまでの寒さが予想できていなかったように、新緑の山を上るという予想も見事に外れましたが、ところどころに咲くシャクナゲの花が茶色の世界に明るい色を添えていてとても綺麗でした。

登山口から1時間ほど急登をこなすと、ちょっと憧れもあった大峯奥駈道に合流です。この現代においても女人禁制の山上ヶ岳からの道がここに繋がり、ここから弥山や八経ヶ岳を通りさらに熊野へと向かう険しい道が続いていると思うと、いつもの登山の縦走とは少し違った不思議な気持ちが湧いてきます。

醍醐寺の開祖であり、空海の実弟真雅を師として学んだ讃岐五大師の一人の聖宝理源大師の像があるのが聖宝ノ宿で、このあたりの尾根道はなだらかで歩きやすく険しい修験の道というイメージとはだいぶ違いました。



聖宝ノ宿から少し歩くと、所々で視界がひらける場所があり、紀伊山地の山々が険しく山深いことを感じさせてくれます。登山口を比較的早い時間に出たこともあってか、あまり人がいないのも山深いという印象を強くしたのかも知れません。


標高 1895メートルの弥山に到着。ここには弥山小屋があり、縦走する場合にはちょうど良い宿泊地。いつもそうだけど、こういう山奥に大きな山小屋があるのには驚かされます。


八剣山・前鬼の道標を見た時、それが一体何を意味しているのかよくわからなかったのですが、八剣山はこれから向かう八経ヶ岳をさし、前鬼はそこから更に大峯奥駈道を南下し、明星ヶ岳、仏生ヶ岳、釈迦ヶ岳をたどった先にある里の名前。やはり、いつかは吉野側から女人結界の門を通って山上ヶ岳や大峯山寺へ向かい、今回の登山ルートも歩きつつ、熊野へと抜ける大峯奥駈道を歩ききってみたいと強く思います。

弥山からは一度くだって登り返す形で八経ヶ岳へと至ります。ここから見える八経ヶ岳は少し不思議な形に見えます。




山頂の標識で初めて気づきましたが、ここ八経ヶ岳は近畿最高峰の山。故に360度素晴らしい眺望でした。この地域は中々晴れることが無いので、このような日に登山できたのは本当に幸運でした。山が折り重なるようにはるか向こうまで連なっているのがとても印象的でした。


八経ヶ岳から登山口近くまで戻ってきました。川のせせらぎ音や明るい空が気持ちの良い道が続いていました、朝早い時間の上りの際にはほとんど意識できていませんでしたが、これまでの疲れを忘れてしまうような気持ちよさでした。

だいぶ早い時間に出発したこともあって、下山はまだ午前中でした。ということもあって、これから登山という方も多くいらして、駐車場には人がたくさんいました。明るくなって気づきましたが、駐車場に止められない人がその先の道にも駐車しているようでした。困ったのは、今日抑えていた宿がこの未知の先の天川村にあり、この道を先に進む予定でいたのですが、数週間前の土砂崩れで通行止め…幸いだったのは、それを知らずにここに向かってきたので、反対側からこの登山口にアプローチしなかったこと。とはいえ、駐車場の管理人に確認したところ、この日の宿に向かうには 70-80キロ大回りする以外に選択肢が無いとのことで、早めに下山できたのも正解。


天川村でお世話になった宿は、民家を一棟貸ししてくれて(想定外でした)、まだ夜から明け方は寒いのでとコタツも用意してくれていました。そして、特製のお味噌を使ったきのこや野菜たっぷりの味噌鍋が絶品で、近くの温泉でゆっくり温まった後でのんびりと過ごすことができました。
宿泊したことで、翌日にはちょっとした観光もできたのでそれはまた別途。大峯奥駈道を歩いての八経ヶ岳への登山は、時間としてはそれほど長い時間の登山ではありませんでしたが、とても印象に残る良い登山でした。


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