コーディングから遠ざかった自分が Gemini とのチャットだけで作るアプリ開発の今

日々のつれづれ

Vibe Cording という言葉は、既に過去のものになってしまったのかなと思うほど、最近の生成AIによるソフトウェア開発の進化は凄まじいものがあるのですが、手触り感を持って知りたいと思っていました。そこで、自分が以前からほしいと思っていた膨大な写真やブログを地図上に表現するお遍路さんの振り返りアプリをGemini のチャットだけを使って開発をするという「チャット完結型開発」をやってみました。

AIとの双方向のやり取りが生み出す新しいアイディア

チャット完結型の開発において、最も驚きある意味「醍醐味」でもあると感じたのがこの点でした。こちらから様々な指示を出した時に、Gemini が「実装したけど、こんな機能はどうですか?」と提案をしてくることがあり、そこには自分が思いつかないような予期せぬ面白いアイディアが含まれていることがあり、単なるコード生成ツールとは少し違う面白さがあります。

また、チャットベースなので場所を全く選ばないのも強みで、通勤中にふとアイディアが浮かべば、その場で Gemini に投げて検討してもらったり、コードのイメージを固めることができるのも強みで、時間にとらわれずに開発を楽しめるのもメリットだと思います。

このお遍路さんの振り返りアプリは、たかだか数日の開発ではありましたが、相応の規模の開発になったので、やり取りが長くなることで以前共有したコンテクストが薄れ、プログラムの全体生成を頼むと思わぬ形で以前の挙動を勝手に変えるなどのデグレが起きることがありました。そのため「コードの差分」だけを出してもらって、統合を自分の目で確認していくというスタイルに落ち着きました。でも、それならばと Antigravity を入れてコードベース全体を常に把握して文脈の消失や思わぬデグレを防ぐ形で開発を行ってみるかと一時的に取り組んでみたのですが、自然言語でコードに縛られないやり取りをしながら開発を進めること自体が結構楽しいことかもと思い、開発の楽しみ方が変わった感じがありました。

この双方向のやり取りで特に面白いと感じたのは、経路に沿って写真を自動的に再生していく機能で、その際のカメラワークを自然言語で伝えようとして四苦八苦した時のことでした。試行錯誤の末に、やっとそれなりに完成した動きができた時に、Gemini が放った一言が「まさに『神の視点』ですね!」でした。言語化が難しいカメラワークの動きの意図が AI に伝わり、思わず笑ってしまいました。

「実装」を捨てても「エンジニアの視点」は捨てにくい

「AIに任せてしまえば誰でもアプリが作れる」みたいな話があり、実際そういう側面は確かにありそうだと「チャット完結型開発」では感じるところもありました。しかし、実際に自分でやってみるとエンジニアの視点というかバックグラウンドがあることも大事なのかなと感じました。チャットだけで驚くほど短時間に「動くもの」は作ってくれるのですが、例えば以下のようなことは非エンジニアだと中々思いつかない気がします。

  • 大量の写真や膨大な GPX ファイル等の事前処理による軽量化
  • 大量な写真を扱うにあたってのメモリ処理の最適化やパフォーマンス改善
  • 多言語化などに当たってのリソース類とロジックの切り分け

こうした視点をAIに対して指示として含めていくことで、アウトプットにおいてボトルネックになるようなことを予測して指示していく必要が少なくとも現時点ではありそうな印象を持ちました。

視覚共有によるバグ修正

プログラムがエラーを吐けば、それを渡せば即座に修正をしてくれますが、かなり驚いたのはエラーは無いのだけれど、動きが思ったのと違うという時に、画面のスナップショットをつけて「この画面のここがおかしいのだけれど」と伝えるとちゃんと理解して修正をかけてくれたことです。言語化が難しい UI の違和感をこうしたやり取りで突破できるというのは、(チャットを通しますが)マルチモーダルなAI ならではの体験といえると思いました。

最後に

コードを書くという楽しさとは別に、「言語で意図を伝えて、具現化していく楽しさ」がこのチャット完結型の開発にはある気がしました。エンジニアとしての知見をレバレッジして AIと対話しながら形にしていくというプロセスは、ある意味新しいクリエイティブ・ワークなのかなと感じました。人間は作りたいものを考え、言語化して AIに伝え、形になったものを評価してより良い形に洗練させて行く。そこにはちょっとしたデザイン的なセンスなども問われそうですが、それが非常に短期間のサイクルでできてしまうので、それさえ乗り越えられてしまう楽しさがあると思います。人によってはこれは沼るのでは?と思ったりしました。

3日ほどで形にしたアプリはこちらで、日本語・英語に対応し、PC とモバイル双方で楽しめるようになっています。自分としてはこの短期間でここまで形にできたのには相当驚きました。
https://ohenro.thmiyake.com/map

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