阿修羅像を“間近で見る”という贅沢 ― 東京国立博物館のVR作品の体験記

日々のつれづれ

東京国立博物館の特別展「運慶祈りの空間―興福寺北円堂」を見に行った時に、もう一つ見ておきたかったのが「VR作品 興福寺 国宝 阿修羅像」でした。東博のミュージアムシアターの VR作品はシアター形式なのでインタラクションはできないものの、普段中々見ることができない作品を見ることができます。でもそれ以上に価値があるのは、実際には近づくことができないようなところまで近づいてその精緻な作りを見せてくれたり、普段は見ることができない角度から作品を楽しむことができること。というわけで、紹介内容が変わると良く見に行くお気に入りの場所の一つ。

体の線も6本ある腕もよく見ると想像以上に細いのに、凛として立つ阿修羅像には静かな力強さが感じられます。特にこの像が多くの人を惹きつけてやまないのは、やはり少年のような幼さがありながら、謎めいた憂いを帯びたその表情なのだと思います。正面の顔については皆が良く知っているのだと思いますが、左右の顔はそれぞれ表情が異なり、向かって左側の顔は唇を軽くかんでいて、なにか深く思い詰めたような表情があるのに対して、右側の顔は何かを決意したような強い眼差しを感じる表情になっています。きっと現地でもある程度は見ることができると思うのですが、多くの人がいる中でこれほどじっくりと見ることは叶わないのではと。

また、今回のVR作品では脱活乾漆造という仏像制作の技法についても詳細に説明がありました。この手法は、まず土で作った原型の上に漆をつけた麻布を何十にも重ねて乾燥させた後に、中の土を抜き取って全体を支えるための心になる木を入れて作り上げるというものです。そのため、阿修羅像は中が空洞になっていて、実は重さが15キロほどしか無いのだとか。そして、阿修羅像のあの柔らかい表情もこうした手法が可能にする表現なのだとか。

30分強の VR作品でとても満足度の高いものでした。12/21 まで開催していて、運慶の展示に比べれば全然空いていて穴場なんじゃないかなと思います、おすすめ。

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