スウェーデン在住時に作った銀行口座
スウェーデン在住時にスウェーデンの銀行に給与受取など含めた生活用のお金を管理するために口座を作っていたのですが、都合上 2つの口座を作っていて、その一つにはデビットカードの機能がついたマスターのクレジットカードを紐づけていて、かつ両方の口座へは普通にネットからアクセスできるようにして、2つの口座間での残高の調整などを適宜行っていたりしました。
帰任時に口座を閉じることもできたのですが、帰任時の為替がかなりの円高でちょっとな…という感じだったのと、そもそも帰任のドタバタでタイミングを逸してしまったのと、そうは言ってもクレジットカードもあって、口座へはネットアクセスが可能なので困らないどころか、むしろ海外出張時などに便利だったのでそのままにして帰任後も普通に使い続けていました。
口座にアクセスできない…Digipass の電池が切れた
きっかけはネット経由で口座へのアクセスを可能にする二要素認証に必要な Digipass の電池が切れたことでした。口座の残高を適宜確認できなくなったのと(定期的に紙で口座への入出金レポートを日本に送ってくれていたので、それでもなんとかなってはいたのですが)、クレジットカードを紐づけた口座にもう一つの口座から資金移動ができなくなったため、対策が必要になりました。
新しい Digipass は送ってもらえない…
銀行の窓口に電話をして、事情を伝えて新しい Digipass を送ってもらう相談をしたところ、本人確認が前提であり、スウェーデンの個人番号の有効期限が切れていることなどもあって、本人確認をするには、本人がスウェーデンの銀行まで行ってパスポートを使って本人であることを証明する以外方法は無いと言われてしまい、実際にそれを実行するか口座を閉じることを考えなければならなくなりました。
そこで口座を閉じる方向で考え始めていました。
スウェーデンの友人の助け舟
口座を閉じるにあたって一度スウェーデンの銀行にコンタクトしたのですが、メールでの相談がダメで、何故か電話でという困った状況。なかなか時間を合わせられないことや、手続き上込み入った内容であることもあってしばらく手をつけられずに放置していました。
しかし、先日日本に遊びにきていたスウェーデンの友人と富士山登山を一緒にしたりする中で、ちょうどこの件の話をすることになって、彼女がまず電話で必要な手続きについて銀行と確認をしてくれて、口座を閉じるために必要な一連の手続きをやり取りするためにメールでやり取りできる窓口も紹介してくれました。
4つの書類の準備
銀行側とのやり取りの結果、以下の 4つの書類を準備する必要があることがわかりました。
- Verified passport copy, we accept verified passport copy only from Embassy, Consulate or Notary Public.(パスポートの認証済みコピー: 大使館、領事館、または公証人役場が認証したパスポートのコピーのみ受け付け可能)
- Assignment letter with request for transfer of balance and closing of account. If you have no information about balance, just state “total balance”.(残高の送金と口座解約を依頼する指示書: 残高が不明な場合は「総残高」と記載すること)
- Payment instruction form filled out and signed, see attachment.(記入済みの署名入り支払い指示書: 添付の支払い指示書に記入し署名すること)
- Copy of account statement from the recipient’s bank confirming the bank details, signed and stamped by the recipient’s bank.(受取側の銀行による、銀行の詳細を確認する口座明細書のコピー: 受取側の銀行による署名と押印があることを確認すること)
2つめについては、自分で英文を書いてしまえば良いだけなので容易なのですが、残りの 3つについてはかなり苦労をしました。もっとも色々と知ることもできて面白い部分もありました。
パスポートの認証済みコピーの準備

パスポートの認証済みコピーですが、単純にコピーを送るだけではダメというのはわかったので、まずスウェーデン大使館に対して、状況を説明してスウェーデンの銀行から大使館が認証したパスポートのコピー提出を求められている旨を伝えて対応をお願いしたところ「原則として日本国籍者の証明は取り扱っておりません。日本国籍者の場合は、最寄りの日本国の公証人役場(Notary Public)にて行います」という返答がありました。
そこで、公証人によるパスポートのコピーの認証がどういうものかを調べてみると、そもそも公証人はパスポートの原本/中身を認証することはできず、さらに公証人が認証できるのは私署証書であって、パスポートのコピーは画像であって私署証書で無いため、パスポートのコピーそのものを認証できないというところまでもわかりました。
そのため、もとの指示には確かに公証人役場あるいは大使館・領事館による認証と書いてはあるものの、本当に公証人役場での認証だけで良いのか不安になりました。
そこでもう少し調べを進めてみると、「アポスティーユ」というものがあり、それが日本の官公署や自治体等が発行する公文書に対する外務省の証明であり、ハーグ条約に加盟している国であれば、アポスティーユを取得すると日本にある大使館・(総)領事館の領事認証があるものと同等のものとして、提出先国で使用することができるということもわかりました。
この2つの情報から、おそらく以下を行えばまず問題ないであろうと考えるに至りました。
パスポートのコピーが正しいものであることの宣言書の用意とその公証人による認証
パスポートのコピーが日本の政府によって発行された私自身の有効なパスポートのコピーであり、それが正しくコピーされたものであること、そして、そのコピーの内容は私自身がオリジナルと比較して同一であると確認していること、さらにこのコピーを使う目的がスウェーデンの銀行口座を閉じるために用いるものであるという宣言書を作り、その宣言書とパスポートのコピー、さらにオリジナルのパスポートを公証人のもとに持参し、公証人の眼の前で宣言書に私自身がサインを入れ、私署証書として公証人が認証する。
上記に対する外務省のアポスティーユの取得(銀行から求められた大使館・領事館認証の代わり)
上記の宣言書に対する公証人による認証が行われたドキュメントに対して、さらにアポスティーユが取れればハーグ条約に加盟しているスウェーデンの場合は、大使館・領事館による領事認証と同等の扱いになるはず。
これが実際に正しい手続きなのか、かなり不安ではあったのですが、麻布公証役場に電話をして事前に確認をしたところ、都内の公証人役場では、上記公証人による認証と外務省によるアポスティーユの認証がついた認証文書をワンストップで作成できるサービスがあることも知ることができ、また同時に上記の対応が正しそうだということも確認できました。
ちなみに、宣言書は上記のコンテキストを生成AIに伝えた上でテンプレートを作らせて、それをベースに自分で英語で用意しました。そして公証人による英語の私署証書の認証の費用は 11500円でした。ここまでの調査やドキュメントの準備には生成AIが大活躍してくれました、本当に便利。
支払い指示書の準備
銀行側から送られてきた支払い指示書も、この手の処理が初めてだったこともあって解読するのに結構苦労しました。以下はその一部を切り出したものなのですが、口座残高の支払いにもいくつかの種類があって、当たり前ですが必要な手数料がだいぶ異なったり、その支払い方法に合う口座をどうするかという点も合わせて検討する必要が出てきました。


手数料が最も少ないと書かれている SEPA payment を選びたいと考えたのですが、これを選ぶには資金のやり取りがユーロのみになるため、ユーロ建ての銀行口座が必要になりました。
実は、割と単純にスウェーデン・クローネでの送金が最も手数料が安くすむものと考えていたので、事前にスウェーデン・クローネでの資金のやりとりができる口座を作らなければと調べていて、もっとも手軽そうな WISE でアカウントを作ってスウェーデン・クローネの口座まで準備していました。しかしこれは無駄になりました…
とはいえ、WISE ではユーロの口座も簡単に作れたので、WISE にアカウントを作っていたことで口座準備については割と楽に行うことができました。以下にWISE のアカウント作成への招待リンクを貼ってみました、もし必要な際にはお使いいただければ嬉しいです。

受取側の銀行による、銀行の詳細を確認する口座明細書のコピーの準備
WISE では、おそらくこういうパターンの要望が多いのか、カスタマーサポートにアプリ経由で事情の説明と対応が可能かという旨を伝えると、銀行による署名と押印がされた口座明細書のコピーをすぐに送ってくれたのと、そもそもアプリからも該当する書類の PDF を取得することができるようになっていて非常に便利でした。
アカウントのクローズと残高の指定口座への移動が問題なくできた!
指定された4つの書類の原本を郵便で指定されたスウェーデンのアドレスに送付したところ、2週間弱でこちらが指定した WISE のユーロの口座に送金が行われました。準備がかなり大変ではありましたが、その後の処理自体は何ら問題なくスムーズに行われてホッとしました。
おまけ…
やるべきことは確かにできたといえばできたのですが、いくつか問題もありました。
本人確認ができたのなら、Digipass の再発行もあり得たかも
本当はスウェーデンの銀行のアカウントをクローズしたいわけではなく、Digipass の再発行ができていればアカウントを残し日本円以外での資金をある程度置いておき、それをデビットカードなどで自由に使えたほうが実は便利ではありました。Digipass が発行できないのは、本人確認ができないのが理由だったので、実は今回の手続きで本人確認ができているはずなので、それをベースに Digipass を発行してもらうということもできたかもな…と思うところがあります。
WISE での資金の保有制限
これが予定外で、WISE では日本円で100万円相当までの資金しか口座に置くことができないという制限があり、今回それを超える資金を移動したので WISE から強制的にさらに別の銀行口座に資金を動かす必要が出てしまいました。結果として日本円以外でキープしておきたいと思っていた資金のいくらかを強制的に円にせざるを得なくなったのはちょっと予定外でした(まぁ、とはいえ円安なのでタイミング的には悪くなかったのかもと思うことにしてます)。
税務署とのやり取りの可能性や確定申告での対応?
スウェーデンの場合一定金額以上の海外へと海外からの送金について、銀行側はスウェーデンの税務署への報告義務があって、その関係でもしかするとスウェーデンの税務署からのコンタクトがあるかもしれないと思っています。また、結果的に日本の口座に円の一部を動かす必要が出たこともあって、確定申告の対応も必要になるのかな?など良くわからない部分が残っています。

最後に、公証役場には初めて行ったのですが、そのビルの雰囲気が独特だったなとか、公証人を眼の前にドキュメントにサインしてそれを認証してもらうとか、経験したことが無い体験で色々と面白かったです。



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