天気予報と山小屋の予約サイトのにらめっこ…
南アルプスの3000メートル級の山のどれかに登りたいなと思いながら、何度か山小屋の予約状況を調べたものの土日は流石に空きはなし。そんな中で 10/14 の土曜日に北岳山荘に偶然空きが出たのを発見して喜んで予約。気になっていた台風もいい具合にそれたのでこれは行ける!と思っていたら週末に低気圧が発達する予報がでてしまい 10/12 の木曜日の深夜に泣く泣くキャンセル。今年はもうダメかなと諦めていたら、10/21 の土曜日に再度空きが出たので改めて予約。週末の北岳の状況を見ると雨や雪は大丈夫そうだけど、かなりの強風が吹きそうな雰囲気。空きが出たのはおそらくそのせい。直前まで悩みに悩んで、天候次第では早めに諦めると決めて出発。
もう一つの心配 – 駐車場

仕事の関係で、金曜日の夜に登山口の広河原へのバスが出る芦安温泉の駐車場に入ることができないのがわかっていたので、駐車場が空いているのか心配ではあったものの、深夜 2時に浜松を出発して、芦安温泉に5時前に到着し無事駐車場も確保。登山客でいっぱいの始発バスに間に合った。
広河原登山口~白根御池

芦安温泉をバスで出た時はまだ真っ暗だったけど、1時間ほど山道を進んで広河原に到着する頃にはいい感じに明るくなっていた。荷物の確認をし、きりっと涼しい空気の中を歩き始めると、登山口の吊り橋がすぐに見えてくる、これから山に入って行く感じがあって良い感じ。ここから白根御池までは、樹林帯の中を3時間ほどの急登。



3時間ひたすら登って、なお山頂が遠いという登山は久しぶり。というわけで、目の前がぱっと突然開けて白根御池の山荘が見えてくるとちょっとホッとする。それまでほとんど人とすれ違うことがなかったので、テントを張ったり、のんびりと休憩をしている人たちが大勢いてちょっとびっくり。
白根御池~小太郎山分岐

白根御池の分岐では、草すべりの急斜面へ。夏の時期には花が咲いていたと思われる場所をどんどんと登っていく。雪を薄っすらと冠った北岳と紅葉した木々のコントラストがとても綺麗。

草すべりを登り振り返ると、眼下には黄色・金色に紅葉した木々や草花が広がり、その向こうにはどっしりと鳳凰三山が見える素晴らしい景色。これまでの急登を頑張ったご褒美って感じ。


心配した天気にも恵まれて、鳳凰三山の地蔵岳のオベリスクもはっきり見える。おそらく初夏の頃は、このあたりの道はお花畑になっていて美しいのだろうけど、残念ながらこの時期はそれは無し。
小太郎山分岐~北岳肩の小屋




やっと稜線に!360度見回すと南アルプスの山々が広がり、これまでの急登の疲れが吹き飛ぶ。雪化粧した岩峰、紅葉の黄色、ハイマツなどの緑が錦のように美しく、この時期ならではの景色に思わず綺麗だなあと独り言が出てしまう。

やっとの思いで肩の小屋に到着。なるほど、1500メートルを超える標高差を登ってくるわけで、多くの人がここで一泊して翌日北岳山頂を目指すのがわかる。本日宿泊予定の北岳山荘へは更に40分程の山頂への登りとその先1時間の下りが待ってるわけで、なかなかに厳しい。
北岳肩の小屋~北岳山頂~北岳山荘

出かける時に情報が取り切れなかったのが雪の状況。肩の小屋のブログでだいぶ雪が積もっているという投稿があったこともあって、念のためとアイゼンとピッケルを持ってきたけど、状況的には明らかにチェーンスパイクで十分…雪があるからアイゼンをつけたけど正直歩きにくいし、ピッケルも不要…失敗した。


岩場に薄っすらと雪が積もっている状況を12本爪のアイゼンでとなったので、だいぶ気を使う登りではあったけど、なんとか北岳山頂に到着。いや…ここまで大変だとは思いもしなかったというのが正直なところ。

北岳山頂からの眺めは、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、富士山、間ノ岳などの山々の先にさらに北アルプスなども見通せて本当に素晴らしく、特に目を奪われたのは雪を冠った間ノ岳とそこに向かう稜線。ほんと嫌になるような登りがあっても登山をやめられないのは、息を呑むようなこういう景色が見られることと、確実に一歩を進めることで頂上に至ることが出来るってことだと改めて思う。
北岳山頂からの岩稜帯はかなりザレていて滑落がちょっと怖い下り。厄介だったのが恐れていた強風で、猛烈な風が東から吹いていて、時々身体が持っていかれそうになったり、それこそ呼吸が難しいほどだったこと。一方で山の天気っぽいなと思ったのは北側と西側は嘘みたいに晴れているのに、間ノ岳の方角はあっという間に雲で覆われてしまって暗くなってしまったこと。

へろへろになりながら、やっとのことで到着。強風には参ったけど、それでも雨や雪にならなくて本当に良かった。こんな凄い場所に山小屋があって宿泊できるっていうのは本当にありがたい限り。

北岳山荘では、受付で予約していた名前を告げると、夕食は2回目の17:45分からで朝食は1回目の朝食で5:00から、部屋は2階の農鳥の部屋の4番ですと。翌日のお弁当も予約していたので、弁当券も頂いて部屋へ。

農鳥の部屋は、5名程度が泊まれるようになっていて、コロナ対策だと思うけれど板の仕切りがあるのはありがたい。掛け布団が少し小さくて足が出て寒かった。

山小屋の食事って、すごい場所にあるのに本当にしっかりしたものを出してくれてありがたい限り。3000メートル近い山の中でお魚メインの熱々の夕食を頂けるなんて普通は考えられず、時々見かける歩荷の方々のおかげなのかなと。あと、たいてい驚くのは周りの皆さんの食べっぷり。食べるの早いし量も凄い。正面に座ってた方は、ご飯と味噌汁を3回おかわりしてたけど、それでも自分より食べるの早いし(自分も食べるの決して遅くは無い方なのでビックリ…)
息を呑む早朝の絶景




朝5:00 の朝食を終えて、外に出るとちょうど日の出の時間。北岳山荘の玄関裏側には目の前に朝焼けの空にくっきりとした富士山が。朝日を受けて赤く染まる姿が本当に綺麗。左に目を向けると美しい山容を見せる北岳がオレンジ色のグラデーションをした空に堂々とそびえていて、さらに西側に目を映すと、今度はピンク色の得も言われぬ色をした空に仙丈ヶ岳、さらに南側に目を向けるとモルゲンルートに染まる間ノ岳…贅沢な時間、まさに息を飲む絶景でした。

北岳山荘~間ノ岳山頂

前日は疲れと天気の心配で、間ノ岳往復は諦めようかなと思っていたものの、天気にも恵まれて疲れも問題ないと感じられたので、北岳山頂で早朝の絶景を楽しんだ後、間ノ岳へ向かって出発。しばらくの登りの後振り返ると、北岳に隠れていた甲斐駒ヶ岳も見えてきた。仙丈ヶ岳・北岳には登ったので、近いうちに甲斐駒ヶ岳にも登ってみたいと改めて思う。


北岳山荘から間ノ岳までは比較的短いように思われて、コースタイムで1.5時間ほど。また、雪が薄くついた岩場が続いて、チェーンスパイクを持ち合わせず12本爪のアイゼンを使ったこともあって歩きにくく思ったよりも苦戦。それでも山頂手前の偽ピークも超えて、広々とした山頂に到着。


広々とした山頂からは、綺麗に晴れた空に南アルプスの山々や富士山を一望できた。大変だったけど、日本第二位と第三位の高峰にこの時期に登ることができたのは本当に良かった。この日の予定は、ここから北岳山荘に引き返して、八本歯のコルへ向かうトラバース道を行き、白根御池に出て広河原へ戻るのだけど、ふとこのまま農鳥岳に向かって白峰三山を縦走して奈良田の温泉に入るなんてことができたら最高だよなぁと思ったりも。それにはもう一泊は確実に必要で土日登山の自分には無理ではあるのだけれど。
間ノ岳山頂~北岳山荘~八本歯のコル

間ノ岳からの帰り道、目の前には雄大な北岳。遠くから山荘含めて望遠で捉えてみると山荘から見ていた姿とはまるで違って見えるのが不思議。

北岳山荘から山頂へ向かう道ではなく、トラバース道を選び八本歯のコルへと向かう。この道も右手に富士山、振り返ると間ノ岳と北岳山荘が見える絶景の道。


八本歯のコルに向かう途中で少し苦戦をしたのが、大きな岩がゴロゴロした場所。斜度がそれなりにある中で、大きな岩がゴロゴロしていて、先が見えにくくどのルートというか岩を選んで進むのかちょっと迷うところがちらほら。ストックをしまって両手も使いながら降りていく。

そんなこんなで、ようやく八本歯のコルに到着。この梯子を降りたところが分岐になっていて、自分は左に降りていくわけで後は大したこと無いのかなと思い込んでいたところ、この先で想像以上に苦戦するとはこの時点では思いもせず…
八本歯のコル~白根御池
八本歯のコルからの下りには、雪がついて凍った路面だけでなく、ひたすらの梯子が続く難所でもあり、持ってきた12本のアイゼンをつけては梯子が辛すぎるため、外してはみたものの、梯子と梯子の間のちょっとした登山道は凍りついていて滑りやすく想定以上に苦戦。というわけで、写真を撮る余裕もほとんどなく。

梯子が続く場所をようやく抜けると、今度はちょろちょろと水が流れる沢に出たのだけれど、ここも影になっている部分が凍りついている。もっと雪深いとふんでチェーンスパイクを持ち合わせなかったのは大失敗…

難所を越えてやっと一息できる場所を見つけてお弁当。たくさん食べる人を想定してなのか、すし飯がギュウギュウ詰めになってるのにはちょっと笑った(食べきれなかった)けど、鳳凰三山を眺めながらの美味しくて贅沢なお昼ごはんでした。

実は当初の予定では、このルートを通らず北岳山荘から北岳山頂に戻る形で行きと全く同じ道をピストンするつもりでした。その理由が、この大樺沢ルートが通行禁止で結果としてこちらのルートはすべて使えないものと思い込んでいたためでした。そうでは無いことがわかったので、行きとは違うルートを選んだわけですが、この大樺沢ルートが通れれば広河原までも更に短い時間で行けたのにとちょっと残念。

ここまでの下りは、正直思っていたよりも全然大変で膝や腿への負担も大きく、正直だいぶ疲れました。白根御池の見覚えのある風景を見た時はちょっとホッとしました。
白根御池~広河原



白根御池から広河原も 2時間ちかい下り、決して楽とは言えない道中ではあったけれど、長かった1泊2日の道中を振り返ったり紅葉を楽しみながらの下山でした。
今回の1泊2日での北岳・間ノ岳の登山では、自分の体力の限界がだいたいこのあたりにありそうだと言うのが見えたのも良かった気がします。そういう学びに加えて、美しく壮大な山の景色を楽しめたのが何より嬉しく、これがあるから登山は良いよなと改めて感じた登山でした。


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